無名の私が1年で神絵師界にデビューした時の話

絵画を描くミカ その他

私が神絵師の方々とお付き合いするようになってから数年が経過しました。

コミケのたびに焼肉に行ってお絵描き談議に花を咲かせたり、神絵師に絵の個別アドバイスをもらったり、充実した日々を過ごしています。それに、イラストのお仕事もそれなりにもらえるようになってきました。

しかし、こんな私も最初から神絵師になったわけではありません。長い間、誰にも評価されず、一人ぼっちで下手くそな絵を描いている底辺絵師そのものでした。そんな私がどうして神絵師界へデビューすることができたのか。

思い起こせば、誰にでも起こりうるようなちょっとしたきっかけだったのだと思います。まぐれや幸運もあったのだと思いますが、そのきっかけから1年で、コミケで壁サークルに配置される様な有名な方と一緒に食事ができるまでの仲になりました。

今回は神絵師になりたいと思っている方へ向けて、私が神絵師界にデビューすることができたときのことを書きたいと思います。

さまざまな人との出会い

絵描き仲間

現在私は、神絵師の方々とお付き合いしたり、Twitterやpixiv上でやりとりをしたりしていますが、このことで私自身もお絵描き界に認められるようになりました。その結果、イラストがたくさんリツイートされたり、作品にコメントを頂いたりすることも爆発的に増えました。

しかし、私も最初からそんな調子だったわけではありません

小さいころから絵を描くことが好きでしたので、一人でイラストや漫画を描き続けていました。しかし、とりたてて絵が上手いわけでもなく、pixivやtwitterでも数人の友達が細々とコメントをくれる程度の状態でした。

Twitterでフォロワーが何十万人もいる神絵師が「新刊3,000部売り切れました!」とか、「5万リツイートありがとうございます!」とか、そういうつぶやきをするたびに、「人気のある人はいいなぁ」とか、「私には一生ムリなんだろうな」と、思っていました。

勇気を出して神絵師にコメントしてみたこともありました。しかし、社交辞令くらいのことしか返してくれず、結局フォローも返してもらえません。結局、神絵師を雲の上に見上げながら、毎日一人で寂しく絵を描いている毎日を続けるしかありませんでした。

そんなふうにくすぶっている時、最初の転機が訪れました。

仕事の都合で地方から関東へ上京してきたのですが、しばらくして絵の話ができる友人が欲しくなりました。もともと関東にはまったく友人もおらず、会社の同僚もサブカルチャーには全く興味がない人ばかり。絵のことを話すことができないうっぷんはどんどん積み重なっていきました。

そんなとき、SNSで「イラストオフ会」というものがあることを知りました。ネット上で知り合った人だけが集まる会というのは、人見知りの私にとっては少し怖いものでした。しかし、「同じ趣味をもつ人たちとなら、きっと仲良くできるはず!」と思い、思い切って参加しました。

初めて参加した時のドキドキ感は今でもハッキリ思い出せます。秋葉原の待ち合わせ場所に90分も早くついてしまい、マックでコーヒーを飲んで時間をつぶしました。待ち合わせ場所にネットに書いてあった通りの特徴の人が現れましたが、どう声をかけてよいか迷いました。しかし、いざ声をかけてみると優しい方ばかりで、すぐになじむことができました。

そして思った通り、オフ会のみなさんとすぐに仲良くなることができました!みんなで1つのお題で絵をかいたり、自分で書いた漫画のネームを見てもらったりと、やはり同じ趣味の話で盛り上がることは楽しいものです。しかも、絵を描いている仲間の輪に入ると、自然と絵に対するエネルギーがわいてくるのです。オフ会から帰ってしばらくは、消化しきれないくらいのアイデアが湧きますし、夜中まで創作活動をしていても全然疲れないのです。

1月に1度くらいのペースで開催されるので、予定がない限り参加し次第に常連になっていきました。


プロやプロ志望

私にとって予想外に良かったことは、プロの漫画家の方や、プロを目指している方がそのオフ会に多く参加されていたことです。

仕事として絵を描いていくことの喜びや難しさなど、アマチュア絵描きとは違う世界の話をしていただき、プロの世界のことや絵に対するスタンスが変わっていきました。漫画家といえば、みんなにあこがれられたり、印税で優雅な生活をしたりといった印象を私は持っていました。しかし、個人で事業を運営しなければならない大変さとか、高品質の作品をコンスタントに完成させなければならないことなど、知られていない苦労の話を聞かせてもらいました。一方で、自分の好きなことを仕事にできる喜びについても聞くことができました。

さて、オフ会に参加していたプロ漫画家の卵の中に、私と年齢の近い方が2人いました。その方たちは当時漫画のアシスタントをしていて、後に2人とも月間少年誌で連載を持つ方なのですが、画風や漫画に対する考え方が似ていたこともあり、特に仲良しになりました。オフ会の後に3人で食事に行ったり、休日に3人で秋葉原をぶらぶら物色したりと、オフ会を超えた関係になりました。

仲良くなってくると、そのうち「漫画家会」に呼ばれるようになりました。イラストオフ会とは違い、プロ漫画家や漫画アシスタントのみで7~8人くらいの少人数でファミレスに集まり、お絵描き談議をしたり、絵をかいたりするものです。本来私のようなものは場違いな気がしますが、漫画家会の皆さんも優しく受け入れてくださり、私も毎回楽しませてもらいました。

その中で、プロの考え方についてとてもたくさんのことを教えてもらいました。このアドバイスは今でもずっと心の中にあって、イラストに向かう時には参考にしています。例えば、下のようなことです。

・先輩や人のアドバイスをちゃんと聞くこと。

・プライドやこだわりを捨てて、上達のためには何でもすること。

・画力にこだわりすぎず、良いものを作ることを目標にすること。

漫画家会に行くようになってから、私の絵が劇的に変化したことを覚えています。たくさんのアドバイスをもらったことももちろんですが、真剣にイラストに取り組んでいる人が周りに増え、私自身の意識もシフトし、絵の上達に真面目に取り組むことができるようになったのだと思います。

イベントデビュー

イラストオフ会に参加するようになってすぐ、オフ会メンバーからすすめられていたことがあります。同人誌即売会への参加です。

私はSNSにイラストを投稿したことはありましたが、同人誌を作ったこともありませんし、なおさら即売会なんて考えたこともありませんでした。同人誌を印刷するのはお金もかかりますし、売れ残って損をしたらどうしようという考えもありました。しかし、私の同人誌を是非見てみたいというオフ会メンバーの強い後押しもあり、一度だけなら、というノリで同人誌を作ってみることにしました。

初めて作った同人誌は20ページとかなり薄めでしたが、わからないことが多くて作るのに何か月もかかりました。しかし実際に本になった自分の漫画を手に取ってみると、言葉では表せない達成感と充実感を感じ、今までの苦労も報われた思いでした。

イベント当日、私は格安印刷所で作った30冊の本を持ち込み、ドキドキしながらブースの準備をしました。「ちゃんと売れるのかな」「残ったらどうしよう」そのようなことを考えながら座っていました。しかし幸運なことに、なんとか30冊をすべて買ってもらうことができました。

全部買ってもらえたことそのものもうれしかったです。しかし、たくさんの同人作家がそれぞれの作品を持ち寄る活気に触れ、「もっともっと腕を磨いて、素晴らしい作品を作りたい!」と思うようになりました。

それからは、より素晴らしい作品を人に見てもらいたいという気持ちがモチベーションになり、さらに画力の上達に身を入れるようになりました。

神絵師界への招待

同人誌即売会への初めての参加の後、私はすっかり同人誌作成にハマってしまいました。コミケのような大きなイベントだけでなく、自分の好きなキャラクターのオンリーイベントにも精力的に参加しました。日中は会社で仕事をしていましたので漫画を描く時間は帰宅後の短い時間に限られていたのですが、楽しかったので時間を工面して続けることができました。

さて、そんな日々を過ごしている中、神絵師界への招待は突然訪れます。私は3回目か4回目くらいのイベント参加をしました。いつも通り会場の準備をしていると、開場前に私のブースに一人の方が来られました。お話を聞いてみると、その方も創作をされていて、Twitterで私の新刊情報を見たので挨拶に来られたとのこと。そこで、私の新刊とその方の新刊を交換することにしました。

しかし、本を受け取ってみてビックリ!

Twitterのフォロワー数10万人を超える有名な作家さんだったのです!私が参加しているジャンルでは第一人者といってもいい方でしたし、そのイベントでも当然ながら壁サークル配置の方でした。壁側から、島中の私のブースまでわざわざ挨拶に来ていただいたのです。

ビックリして最初は言葉も出ませんでしたが、私もその方の作品が好きでしたので少し話し込んでしまいました。話していますと、その方は私が初めて同人誌を作ったときにTwitterで見て知ってくださり、pixivの過去作を見て私の作品を好きになってくれたとのことでした。

しかもビックリすることはそれだけではありません。

「今日のイベントの後、なにかご用事はありますか?」

なんと、その方の参加される打ち上げに呼んでいただけることになったのです。うれしさのあまり頭が真っ白になりましたが、当然参加しました。

打ち上げの会場に行ってみると、ほとんどの人がTwitter上で数万人のフォロワーを持つ有名な方ばかり。肩身が狭い思いをしながらも、なんだか私のことも認めてもらったような気がして、興奮しっぱなしの一晩でした。

それからというもの、その方の打ち上げにはほぼ毎回参加させていただいていますし、別の神絵師の打ち上げや前夜祭にも呼ばれるようになりました。なんだか私の知らないうちに、トントン拍子で神絵師の世界にデビューしてしまったのです。


私が神絵師界デビューできた要因

結局、私が神絵師の世界へ入れた原因は何だったのでしょうか。

私が絵の上達に取り組んだことも良かったのかもしれません。しかし、いろんな方からの支援や助けも含めて、それ以外の要因が多いと考えています。

個人的には次のようなことが良かったのではないかなと思いました。

・実際に会って、絵を描くことを一緒に楽しむ仲間ができたこと。

・プロの方や、真剣に取り組んでいる人と会い、刺激をもらえたこと。

・人からアドバイスをもらい、正直に実践したこと。

・絵を見てもらうことをモチベーションにできたこと。

・SNSで情報を発信し続けたこと。

・イベント会場など、人との出会いの場へ積極的に出ていったこと。

ムリヤリ一言にまとめると、神絵師として認められるにはまず絵を上達させないといけない!というのは間違いで、自分をレベルアップしてくれる人と知り合うことで絵が上達して、その結果、神絵師として認められるということなんだと思います。

さいごに

神絵師界へデビューしたことで、私の人生は大きく変わりました。私の絵を見てくれて、評価してくれる人が爆発的に増えました。創作をするうえでうれしいことや困ったことを分かち合える友達もできて、一人ぼっちで絵を描いていた時とはくらべものにならないほど幸せな毎日です。この記事を読んだあなたにも、ぜひ私のような幸せな気分を味わってもらいたいです。

最後に私が言いたいことは、実際に人に会ってみることの大切さと、初めてのことにも貪欲に取り組むことの大事さです。人に会うことで、絵の向上に必要な技術を手に入れることができますし、何より人脈が広がることでチャンスをつかむことができる確率を上げることができるのです。

それから、このサイトにはいままで私が神絵師から教えてもらったテクニックやコツをたくさんちりばめています。イラスト仲間を作りづらい環境にいる方も、このサイトを見れば神絵師になるためのヒントをつかめるはずです。ぜひ、あなたのお絵描きライフに役立ててください!

思い立ったら、すぐに行動に移しましょう!目指せ!神絵師焼肉!

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チュンすけ

チュンすけ

漫画家、兼イラストレーター。 漫画・イラスト制作の指導もしています。 2019年から脱サラし、念願のイラストレーターとして活躍中! 詳しいプロフィールはこちら

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